背景
金融機関は取引先企業の業況が変化した場合、それをいち早く察知し、取引先企業とのコミュニケーションを図る必要がありますが、地銀の取引企業は数万社あり、人の手で日々の取引データや決算の結果を基に予兆を見つけ、適切に対処するには限界があります。そこで、リアルタイムに業況の変化を通知してくれる「FinCast 業況変化予測」(FinCast)の開発に着手。地銀をはじめとした幅広い金融機関に利用してもらえるようにクラウドサービスとしての提供を検討していました。
課題
金融機関で利用できる高セキュリティのクラウド環境の確保
OpenCanvasの利用イメージ
Before
金融機関が入出金データをパブリッククラウドへアップロードすることは、セキュリティ上、大きなハードルがありました。また、当初は外資系パブリッククラウドサービスの利用を検討していましたが、データ保存場所の透明性や、国内特有の事情に合わせたセキュリティ監査への対応など、課題が多くありました。
After
「FinCast」の開発に着手し、「FinCast」が求めるセキュリティを確保していたクラウド基盤として「OpenCanvas」を採用。また、「OpenCanvas」は国内のほとんどの銀行が利用している「ANSER」を活用したクラウド基盤であったため、地銀が普段利用しているシステム上で動く新たなサービスとして提供が可能でした。
導入効果
OpenCanvasの導入効果
システムの高セキュリティ化・高信頼性化の実現
「OpenCanvas」は金融機関システムとセキュアに接続できる仕組みを持っており、銀行業務に関するサービスを稼働させるクラウド基盤として優位性がありました。個別の監査ニーズに対応したレポートの提出も可能で、従来、銀行に対して提供していた監査へのきめ細かな対応を生かしたサービスをクラウドでも提供できます。また、「ANSER」は全国の銀行で利用されており、長年にわたり、金融機関のセキュリティを維持できている運用実績をベースにしたクラウドとして高い信頼性を確保していました。
システム開発期間の短縮
利用者である地銀は既に「ANSER」でセキュアな専用回線とつながっており、すぐに「FinCast」を利用できる環境が整備されていたため、開発期間の短縮につながりました。また、既設の「ANSER」接続の回線を経由して「FinCast」にログインできるため、セキュアな接続のための追加費用もかかりませんでした。
お客様の声
株式会社JSOL
ソーシャルトランスフォーメーション
事業本部 ソリューション営業部松井氏
OpenCanvasを選んだポイントとは?
当時、金融機関がクラウドサービスを利用するケースはまれでした。特に、銀行の入出金データをパブリッククラウドへアップロードすることに抵抗感がありました。どうしようかと考えていたときに、NTTデータが「OpenCanvas」というクラウドサービスを開始する話を聞き、早速検討することにしました。
もちろん、「FinCast」が求めるセキュリティや信頼性を確保していたということが前提にありました。国内のほとんどの銀行が利用している「ANSER」を活用したクラウド基盤であることが、「FinCast」の利用者となる地銀にとって安心感につながると思いました。地銀が日頃から利用しているシステム上で動く新たなサービスとして提案できることが、最大のメリットでした。
今後の展望について
株式会社JSOL
ソーシャルトランスフォーメーション
事業本部 ソリューション営業部木村氏
企業を回ることが銀行にとって重要な業務であることは、昔も今も変わりありません。しかし、コロナ禍にかかわらず他の業務も増えており、十分に足を運ぶことができていないというお話も伺います。「FinCast」の分析結果から、アプローチ先を選別できることで、『行くべき企業に行く機会を与えてくれる』というご評価を頂くことが多いです。
今後は業況の変化を検知するだけでなく、企業の成長のための前向きな提案をする気付きを与えられるようにしていきたいです。「FinCast」の当初の目的は業況の変化を検知することでしたが、データをきっかけにして企業と金融機関のコミュニケーションを促し、企業の成長を支えるツールとしても使っていただけると考えています。
お客様プロフィール
株式会社JSOL
- 資本金
- 50億円
(株式会社エヌ・ティ・ティ・データ 50%出資) - 売上高
- 375億円(2021年3月)
- 従業員
- 1,200名(2021年4月)
- 所在地
- 東京都中央区晴海2-5-24 晴海センタービル(東京本社)
- 事業内容
- 製造、流通・サービス、金融、公共機関など各分野へのICTコンサルティングから提案営業、システムの構築・運用にいたるまで一貫したトータルソリューションを提供。
- URL
- https://www.jsol.co.jp/
OpenCanvasに関する問い合わせは以下をクリック。